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【SS】6期から7期へ【プロローグ】

くるくると、同じ時を繰り返す世界。ブリアティルト。
その真ん中で、彼女は笑った。

「ここなら、きっと見つかるよ」

そう言って。
何が見つかるかなんて、彼女は言わない。
ジャラヒも聞かない。
別になんだっていいのだ。
彼女がいいなら、なんだって。


*****





ブリアティルト中央に位置する国、オーラム。
オーラムという国は、性に合っている。とジャラヒはなんとなく思う。
具体的にどこがというわけではないが…
生まれ育った街に、少し似ている。
ジャラヒが生まれ育ったのは、もっと埃っぽくて、もっと人の匂いより人工的な匂いが濃い街だったけれども、宮殿に近づけば近づくほど増えるきな臭い話に、醸し出す胡散臭さはそっくりだ。
胡散臭いのに、街は活気があって、憎めないところも同じ。と、自分の住んでいた、都会と呼ばれる街と比べて、ほんの少しだけ懐かしくなる。
自分で捨てた街だ。
帰りたいとは、思わないけれど。

(帰れるのかは、別として)



ここブリアティルトという世界は、この戦乱の数年を繰り返しているのだと聞いた。
それについて、ジャラヒは詳しくは知らない。

最初の日、連れの少女と(もう一人男がいたが)、この地に降り立ち、「ねえ、どうする?ここにしようか?」と少女がオーラムで微笑んだので、今、ジャラヒはここにいる。
なぜこの国なのか、とか、この国で何をするのか、とか、ジャラヒには関係なかった。
どこでもよかったし、どうでもよかったのだ。
復讐に駆られていたジャラヒを救い、引っ張って来たのは、連れの少女だったし、彼女がここにすると言うのなら、そこにしか、ジャラヒの居場所はない。
彼女がここにしたいなら、異論なんてあるはずなかった。


「良い国じゃないか」

そう、もう一人の連れの男が呟いたので、そうなのかと思っただけだ。
ジャラヒは生まれ育った街しか知らない。
街から出たことがないわけではないが、その街の良い悪いなど考えたこともなかった。
良いも悪いもない。国は国だし、街は街だ。それだけ。

だから、愛想で言っているのか知らないが、「面白そうだな」と笑う男が、少し気に食わなかった。

そう。この、もう一人の連れ。
岸辺ロイ、とおかしな響きのふざけた名前を名乗る男は、このブリアティルトに来る少し前から、連れの少女が呼び出した男だ。
道中で拾った本を開いて、読んだら出てきたらしい。
ふざけている、と思ったが、少女のこうした行動は、もうジャラヒにとって動じるものではなくなっていた。
だから、そのふざけているという非難の対象は、本の中から出てきた、なんてふざけた現象で現れた男に対するものだ。
気障な動作が胡散臭い男。
この男に会ったあと、すぐにブリアティルトにたどり着いたことすら怪しく思う。
一挙一動が怪しい。
こんなに明らかに怪しいのに、連れの少女は気にしてないようだった。

「ロイくん」

明るく、その男の名前を呼んで。

「ジャラ。ロイくんは強いから、頼りになるよ」

と、笑う。
まだ男の力なんて、見たこともないのに。


実際、戦闘でそれを見てみると、認めざるを得なかった。
細い体をしていたが、力はあるようで、大型の剣を片手でひょいと振るう。
動きは素早く、的確に急所を打つ。
だが男は、あれでも自分の力に満足いかないのか何なのかしらないが、

「んー…あーあれ?…まあ、いっか」

なんて首を振っていたが、そのほんとのおれはもっとすごいんだぜ的態度も気に食わない。
達観しているんだかなんだか知らないが、胡散臭いその態度が気に食わなくて喧嘩を売ると、歳相応の顔で言葉を返してくる。

「また攻撃くらってやんの。ばーか」
「戦闘不能寸前で何言ってんだ。あほ」

もう、ふたりとも!喧嘩しないの!
とは、ここのところ、二人の仲裁が常の仕事になった少女の声だ。

そんな毎日を繰り返して、ついにあの日が来たとき、ジャラヒは気が付かなかった。






あの日。
繰り返す数年の、最後の日。



繰り返す世界について。

そう。ジャラヒは詳しくない。
知らない。
正直な所、知りたいと思ったこともなかった。
そういう日が来るのだと、それだけ耳にしていた。
実際、「そう」なのだと語る傭兵にも、経験した傭兵にも会った。
彼らと戦場も共にしたこともある。
だけど彼らは、「その日」に関しては、静かだ。
誤魔化すでもなかったが、その日について語るところを聞いたことはなかった。
ただ、確実に、来るとだけ。



そんなその、話題の最後の日。

静かに、

「今日だな」

と、ロイが言った。
今日って?とジャラヒの口を疑問が突きそうになったが、口に出す前に、唇を噛む。
疑問に思ったのは、自分だけだと気づいたからだ。
ジャラヒの連れである少女にも、動じた様子はない。
彼女はとっとっと、スキップをするように跳ねて、そして、ひらりと舞うように、くるりと二人に向かい、当然のように、笑った。

「ねえ、どうする?」

いつもの、絶やすことのない、笑顔だ。
そうなると、ジャラヒは、どうするもこうするも…と思う。
決めるのは、自分ではない。なにを「どうする」なのかもわからないが、わかったところで答えは同じだ。
だが、それを口にするのは、横にいる男に癪で、何も言わずに頷くだけにとどめた。














そうして。

頷いたら、もう一度最初の日だったので、「どうする?」の答えを、そういうものなのだと、ジャラヒは受け止めた。
門をくぐったのだ。

それを彼女が選択したから。


そう、受け止めて、もう一度オーラムで三年の時を過ごして。




突然、ああ、好きだなあ、と思った。
オーラムが。
この世界が。

それをきちんと思ったのは、とある事件で死んだと思っていたオーラムの姫が生きていたと、その知らせを聞いた少女が、
いつも笑顔の、馬鹿げたことばかり言うあの少女が、
ひとつ息をついて、ぽろりと涙を零したときだ。

(泣いてる)


彼女の涙を見たのは、その時が初めてだった。

(リオが、泣いている)

戦で、オーラムの姫が死んだと、ロイが情報を持ってきたときだって、彼女は泣かなかった。
泣かずに、そっかと頷いて、「明日もがんばらなきゃね」と笑うだけ。
本当に、わかってるのかと、激高しそうになったのを覚えている。
激高しそうになって、ロイに止められた。

あのとき、彼女を責めなくて、よかった。
止められて、よかった。
と、初めてロイに感謝する。口には出さないけれど。
そして、泣いている彼女を見て、ほっとした。

(良かった)

彼女は、ようやく泣けたのだ。
それと同時に、ジャラヒの胸も暖かくなる。

(ああ、姫様が無事で、よかった)

(おれは、オーラムが、好きだ)



「よし」

涙を拭って、にっこりと、少女は笑った。

「明日も、がんばらなきゃね!」














そうして、再びの最後の日。

「ねえ、どうする?」

いつか見たように、青空の下をくるりと回って、彼女は問うた。

まず、ジャラヒの顔を見て、それからロイの顔を見て。

「どうしよっか」

と、もう一度。

口元に手を当て、困ったようにそう問うので、ジャラヒは思わず笑った。
どうしようもこうしようもない。
きっと、彼女の中には、もう答えはあるのだ。
それでも彼女は、問うことをやめない。
一度だって、ジャラヒの意見を問わなかったことはなかった。
最初の日だって、ここにしようかと言ったのは彼女だったけれど、頷いたのはジャラヒだ。
彼女が決めてくれるなら、なんだってジャラヒは頷くのに、彼女はそれを良しとしないのだ。
だからジャラヒは、それに応えるべく、言った。


「おれは、この国、いいと思うぜ?好きだ」


彼女がしたいことは、なんだろうか。
正直なところ、ジャラヒにはわからない。
彼女には、見つけたいものがあるらしい。でも、それがなんなのかわからない。
いつも、突拍子もなくて、予想の斜め上を行く少女だ。
来いと言われればどこにだってついていくし、やれといわれれば、何だって(文句は言うけど)やってやるつもりだったが、それがジャラヒの想像通りだったことは少ない。

何かはわからないけれど、彼女は、ジャラヒが何かを言うのを待っている。
それだけはわかったので、素直な気持ちを、ひとつだけ乗せた。

ジャラヒの言葉を聞いて、少女はきょとんと目を開けて、
それから、そっか!と笑った。




「ねえ、団長?」

次に口を開いたのはロイだ。

「はいロイくん!ちなみにワタシは、団長じゃなくて、中隊長止まりです!サボりすぎました!」

ハイ!と元気よく手を上げて少女。
それに、くすりと笑って、ロイは続けた。

「わかってます。知ってます。把握してます。見てたから。
 そうじゃなくてさ、赤雫☆激団の団長。…団ってついてるから、団なんだよな?」
「…三人だけどな」

赤雫☆激団、というふざけた名前は、少女がつけたものだ。
ジャラヒが、故郷で『赤き涙雨』と書いてレッドレイニングなんて読む、恥ずかしい名前の―だけど、懐かしくて、苦しくなる忘れられない名前の―チームのボスをやっていた、というのを覚えていたのだろう。
以前、それを聞いた彼女は、かっこいいよね!と興奮して騒いでいた。
「『赤雫☆雫団』!これ、レッドドロップって読むからね!」
なんて、隊名を決めたときは、殴ってやろうかと思ったが、あまりにも嬉しそうなので、バカらしくなってやめた。



「うん。3人でも団。問題ない。別に2人でも4人でも10人でも問題ないけど」
「おまえ、何が言いたいんだよ」

早く言えよ、とロイを促すと、ロイは少し屈んで、少女と目線を合わせた。

「だからさ、リオ。君は団長なの。ずーっと、何があっても。
 君が決めたんだから、この団はキミのもの」
「……ロイくん?」
「ここはキミの家になったし、ここはキミの団。ずっと団長はキミで、それは、何があっても」

何を言ってるんだ、こいつ?
とは思わなかった。
ジャラヒには、男の言いたいことがすべてわかってしまった。
男は、彼女の真意に気がついていて、この物語の一つのエンディングを提示しようとしている。
腹立たしいのは、たった少しの時間―合わせて6つの年を短いというかどうかは別として―ジャラヒよりも短い年月しか彼女と一緒にいなかった男が、それに気づいて、それを終わらせようとしていることだ。


だとしたら




「なあ、リオ」

そんな役目、譲ってやるつもりは、ジャラヒにはない。
だから、出来れば言いたくなかったけれど、ジャラヒはそれを口にした。


「おまえは、どうしたい?」

いつも問われていた言葉を、彼女に返す。

「ワタシ、は」

独特の声のトーンで、少女は息をつまらせた。
笑おうと、している。
だけどそれに失敗して、すこし口元が歪んで、
それでも笑うことを辞めもせずに、少女は言う。


「したいこと、全部、してるよ」
「うん」
「いっぱい遊んだし」
「うん」
「もっと遊びたいし」
「おう」
「オーラム好きだし」
「知ってる」
「みんなと、離れたくない」

だから、と言い聞かせるように、ロイが笑う。
もう、しつこいくらいに、何度だって言うけどと、前置きして。

「離れないって。キミは団長なんだから」

それから、ぽん、と少女の頭に手をやるので、ジャラヒはその上に手を乗せ、ぐりぐりとロイの手ごと、彼女の頭をかき混ぜた。



「だーかーら!さっさと言えよ!団長!」
「痛い痛い。ジャラの乱暴ものー!」

二人の手を振り払って、少女ははあ、と息をつく。
あーあ、と溜息もついて。
まるで戦闘のあとみたいな、疲れたポーズで肩を落として。
でもその顔は笑っている。
今度は、口元もきちんと笑った、いつもの顔だ。


「ワタシ、あそびたい!」
「いつも遊んでんじゃねえか」
「傭兵辞めたい!わがままかもしれないけど」
「わがままじゃないお前なんて知らん」

ジャラヒがそう言い切ると、ぐぐ、と少女は言葉に詰まった。

「傭兵、辞めたいけど、でもやっぱまたしたい」
「もちろん。団長は復帰が義務です」

ひょいと指を一本立て、ロイが片目を瞑る。
ウインクってやつを自然にやるのがとても胡散臭い。
あまりにも胡散臭いので、ジャラヒはパンパンと両手を叩いた。
これにて終わり、のポーズだ。

「じゃ、決まりな。リオは遊んでらっしゃい。
 おれが、オーラムでこの団に残って、まあ、潰れない程度に盛り上げておくから。
 あー…別にどうでもいいけど、おまえは?」
「あ、おれはひとまず実家帰るわ。彼女が待ってるし」

どうでもいいことを付け足して宣言するロイのことは放っておいて、これでいいだろ?と少女を伺うと、きょとんとした顔で、こちらを見上げている。


「いいの?ジャラ、遊ばなくて…」
「いいの。おまえ、離れたらこの隊が心配なんだろ?見ててやるっつってんの。
 それともおれがいなくて寂しい?」
「うん、寂しい」

あまりにも素直に頷くので、動揺したのはジャラヒの方だ。

「え、あ、そっか、でもまあ、寂しいならやっぱりおれ、おまえと…」
「でも、残ってくれて、うれしい。ありがとうジャラ」
「………どういたしまして」

がくりと肩を落としたジャラヒを見て、ロイがくっくと笑った。




そんな彼らに、見てろよ、今度会ったら強くなった赤雫☆激団を見てビビれ!
と心に決めたジャラヒだったが、翌日起きて、ビビったのは自分だった。



















「な!な!!!」





「お久しぶりです。ジャラヒぼっちゃん」




起きて、もう少女もロイもいないのだと胸に何かが沈み、それを振り切るように頭を降ったのだが。

……柔らかい。

頭の下も柔らかいし、頭の上も柔らかい。

「ぼっちゃん?だいじょうぶですか?」
「…!!!」


頭の下のは太ももだ、そして、頭の上のは胸だ。
気づいて、ジャラヒはその膝の上から転がり落ちた。

「な、な、な!!!」

「何事!」

ジャラヒのうめき声に被せるように、高めの女の声。

膝から転がり落ち、その太ももと胸の主を指さし呻いているジャラヒの前に現れた、もう一人。
黒髪の少女は、迷わずジャラヒに銃を向けた。


「ドロシー、大丈夫?敵?」
「な、な、な」


さっきから、「な」しか口にできていないジャラヒだったが、そんな中、必死で頭を回転させる。


まず、今回も門はくぐったから、今日は最初の日。オッケイ。
あいつらは出て行ったからいない。おう。
で、寝ていて起きたら、膝枕されてた。なんで?
あとから来た女に、銃を向けられている。なんで???



「大丈夫です、ダリアさん。
 ああ、そちらがジャラヒぼっちゃんです。」
「ジャラヒ…例の?」

大丈夫、と言った女は、知ったげな顔で頷いた。
メイドのような服を来た、三つ編みの若い女である。
見たところ、20歳…いや、もっと若いかもしれないし、歳を重ねているかもしれない。
どうと言われても頷けるような顔だ。
そして、その顔に、ジャラヒは見覚えがあった。
見覚えがあり、そしてそれをすぐに否定する。
そんなはずはない。

(だって、あれは、おれがガキのころの)

ガキもガキ、まだ3つか4つか、物心ついたくらいの頃の記憶だ。
そんな頃の記憶をまだ覚えていた自分自身に驚くが、それもまあ致し方あるまい。

(足の付かないプールで、サメと泳がされたことは忘れられねえ)

ともかく、色々なトラウマをもたらした女性。
自分の乳母として雇われていた女性だ。
乳母なのになぜこんなに若いのか、なんて、当時は思いもしなかったけれど。
そして、そのときの姿とまったく変わらない姿で、なぜここにいるのかは、もっとわからないけれど。

(いや、別人…)

「改めまして、お久しぶりです。ドロシーです」

ビンゴだった。
にこり、と綺麗に微笑んで、彼女は一歩退く。
どうやら、もう一人に名乗らせるつもりのようだ。
それに従い、もう一人が、下げた銃をコートの中に忍ばせ、ジャラヒの前に立った。

「ダリアよ。あんたの護衛」

護衛と名乗る人物に銃を向けられたのは、ジャラヒにも生まれて始めてだった。
黒く、長い髪をさらりと払い、申し訳程度に、よろしく、とつける女。







混乱するジャラヒに、ドロシーが渡したのは一枚の手紙だった。


『ジャラへ!!!

リオです!!ひゃっほー!!たのしんでくるね~!
いいもんみつけたらおみやげもって帰ります♪
ロイくんもなんかおもしろいもの持ってきてくれるといいね!!
留守番たのむね!
またちょくちょく帰るから、よろしく~!!


あ、忘れてた!
PS
大変だろうと思って、二人呼んで来ました。
ひとりはジャラの知ってるメイドさん!
ドロシーちゃん!メイドさん!すごい!メイドさん!
あまりにもメイドさんだから、代理リーダーたのんだよ!
あと、ジャラのパパが、心配だからって、護衛さん!
ダリアちゃん!暗殺者なんだって!すごい!
ダリアちゃんすごい!』



「………」


手紙は一枚だけだった。
PSのほうが大事だろうとか、なんでお前がドロシー知ってんだとか、
なんで両親と連絡とってんだとか、どうやってだとか、
護衛だとか、ていうか暗殺者ってなんだとか、
結局何の情報にもなってないだとか
言いたいことは色々あったのだが。


「え?リーダーおれじゃないの?」


とりあえず、ジャラヒは、誰にとはなくそう問うてみた。







************
オーラムベストED6期おわり。
6期のリーダーリオディーラ、サブ、岸辺ロイ。サブ2ジャラヒ・ワートン。

7期のリーダー、ドロシー、サブ1ジャラヒ、サブ2ダリアへ
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