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【SS】物語を繋ぐモノ【short story】byナンバーズ・ラボ

ナンバーズ・ラボ様にいただきました!!

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「失礼する。ジャラヒ殿はご在宅かな?」

その男、フィボナッチは前触れもなく…行動に脈絡や理由を求めるのは困難な人物であるが…赤雫☆激団の本拠に現れ、応対に出たドロシーに尋ねた。
「坊ちゃんでしたら、外出しております。さほど遅くはならないと思いますが、研究室へへ伺うようお伝えいたしましょうか?」
「遅くはならないのであるか…支障なければ中で待たせてもらってもよいかな?……おおそうだ、これはカプレカの奴からなんだが…皆で食してくれと持たされた。手作りのプリンだと言っておったな。」
「これはわざわざ…ありがとうございます。フィボナッチさんのお時間に問題がなければ」
ドロシーが言い終わるのを待たず、フィボナッチは肯定の雰囲気だけを感じ取り勝手しったる他人の家とばかりに客間へと入っていった。


夕暮れも迫り、フィボナッチの来訪から四半日程のときが経つころ…尋ね人ジャラヒが本拠へと戻ってきた。リオディーラの育児書がらみで馴染みとなった本屋でついうっかり話し込んでしまったのだ。

「フィボのやつが待ってるだって…?いったい何の用だってんだか。…ん?」

ドロシーから来訪を聞き、外出着から着替えようと私室へ入ろうとする。だがその矢先、室内に人の気配がする。リオはさっき食堂でカプレカからもらったというプリンを満面の笑みで食べていた、違う。フィボ?やつは客間で待っているとドロシーから聞いているからこれも違う。となると…空き巣だな。
即座に判断を下し行動へ移す。すばやくドアを開き、侵入者に反応する隙を与えず魔法を放り込む。

「アトムっ!お前が誰だかしらねぇが、忍び込んだ場所が悪かったとあきらめるんだな」

ややあって魔法の煙が晴れてきたとき、ジャラヒは息を呑んだ。侵入者は相変わらず…というよりもむしろ、放り込まれた魔法を意に介さずそこに佇んでいたのだから。
歴戦の傭兵ならともかく、こそ泥程度には耐えうるはずもない…であればリオの身が危ない!己のことはさておき愛する少女を守らんときびすを返しかけたその瞬間、部屋の中から声がかけられた。

「くくく…ジャラヒ殿、遅かったではないか。まったく……待ちくたびれてつい家捜しをしてしまったぞ。まぁ、最も欲しかった物はないが、代用品は見つかったという所であるがな…くくく…」

常に寝癖のようなくせっ毛をしている頭髪はアフロになり、よれよれの白衣は煤けていたが声の具合は間違いようもない、客間で待っているはずのフィボナッチであった。それが確認できるとジャラヒの全身から一気に力が抜け、代わりに怒りがふつふつとこみ上げてきた。

「おいフィボ、お前は客間で待っているんじゃなかったのか!?って言うかなんで人の部屋に勝手に入って家捜ししてるんだ?おぃ、なんか言えよ!ぜぇはぁ…」
「うむ、そんなに怒鳴らずとも答えるとも。まぁ…ジャラヒ殿の帰宅を待ちきれず、同意を得ることを前提にして行動していた…そういう事であるな。」

勢い込んで詰め寄るジャラヒに対し、フィボナッチはいつもと変わらぬ軽薄な…人を小ばかにしたような笑みを浮かべて軽く答える。が一転、常にはないまじめな表情になり詰問者へ問いかけを返す

「ジャラヒ殿…このままでいいと思っておられるのか?ロイ殿の事、そして…リオ殿の事…」
「いいなんて思ってるわけねぇだろ!けどよ、俺にできる事なんて…(ぶつぶつ)」

勢い込んで言い返すものの、まさしく竜頭蛇尾の体で言いよどんでしまうジャラヒ。しばらく話し込んだ後、日を改めてジャラヒがフィボナッチのラボを訪れる事となった。その様子を見ていたロイによると「悪徳訪問販売員に言いくるめられたジィさんみたいだったぜ」とのことである(合掌)

それから数日、準備ができた旨の連絡を受けラボを訪れたジャラヒ。朝早くに訪れ、研究室へと案内された彼の目に飛び込んできたのは、およそプリアティルトの文明水準からは考えられない『医療機器』によく似たものであった。

「ジャラヒさん、引き返すのなら今のうちです。主任からおおよその事は聞きましたが…成功率は数%といったところでしょうか。下手をすれば命にもかかわってきますよ…」

そう問いかけてきたのは、ラボの用心棒にしてハウスキーパーのカプレカである。フィボナッチほどではないが、彼の研究に対する理解を持つ人物である。実験に危険が伴うというのはそう外れていないのであろう。


「心配サンキュな。だけどよ、引けねぇことはあるのよ。分かんだろ?特に…俺にとって、あのリオの事ならなおさら…な」
「そこまで決心しているなら止め立てはいたしません。後は…主任の気まぐれで危険な行程が追加されないように祈るだけです。」
「ははは…確かにそれが一番怖えや。ま、フィボの技術自体は疑ってねぇからよ。危ねぇことしそうになったときに止めてくれよ。頼むぜ…っておいフィボ、これは何だよ!?」
軽口の応酬で不安を軽減している間にも黙々と準備をし、気がつくとジャラヒの頭にはハリネズミのように数多のコードが刺さったヘルメット状のものが被せられていた。

「くくく…ジャラヒ殿の”脳力”を測るための装置であるな。安心するがいい、自爆装置は付いておらぬゆえな(ぽちぃ)」
「お、おいフィボちょっと待て…っ!」

被験者の誰何に対し答えにならぬ返答が帰ってくる。止める声も間に合わずスイッチが入れられると、つながれた機器からは様々な計測値が続々とはき出されていく。人前では見せない、引き締まって鋭い眼光を放つフィボナッチ。ヘルメットの下から喜怒哀楽の表情をのぞかせるジャラヒ。それらを心配げな表情で見守るカプレカ…。機器の発する騒音と時折発せられるジャラヒの呟き、それだけをBGM代わりにしてラボの時は進んでいった。



日も大きく西に傾く頃、ようやくそれは終わりの時刻を迎えた。
「ジャラヒ殿、気分はいかがかな?」
いつものにやけ顔に戻りつつ、ヘルメットを脱がせるフィボナッチが問う。
「………よくねぇよ。ってか疲れた。ってか何でわざわざリオの記憶を再生して俺に見せたんだ?よく出来てたな…ってかお前はデバガメか!?」
疲労困憊、といった体でジャラヒが問い返す。
「それは違うぞジャラヒ殿、再生して見せたのではない。記憶の底に眠っていたものを呼び覚まし見せてもらったのだ。まぁ、そのついでにジャラヒ殿の魔力の波長を確かめさせてもらったがな。くくく…」
「そうだジャラヒさん、夕食はどうされます?よろしければケヤキの方で用意してもらいますが。」
「ワリィ、あそこのメガ盛りってのもいいんだけどよ…今日はパスだわ。さっきも言ったけど疲れちまったしよ。それに…リオが俺の帰りを待ってっからな」
「うむ、リオ殿が待っているなら仕方がないな。まぁ、今日の成果はそう遅くならんうちに持っていくとしよう。お疲れ様であった」
「あぁ、ほんっと疲れたわ。ま、期待しすぎねぇ程度に待ってるぜ。じゃぁな」
「なぁフィボ、これはいったい何なんだ?」

ジャラヒがフィボナッチの研究室で実験を受けてから数日後、激団本拠を訪れたフィボナッチ。彼はどうだと言わんばかりに胸を張って発明品を示すが、ジャラヒは心底不思議そうな顔をして問いかけた。

「ん?何だと問われてもな…見たままのものだとしか言いようがないな。さて、どう説明したものか」

もともと思考が捻れているフィボナッチ、そこへ来てさらに独特の思考にひねりを加えたものを作ったらしく彼自身も説明をしがたいといった体のようだ。

「わかり辛いようで申し訳ありません。これは単独では機能しないもののようでして、こちらの2冊のうちいずれか…もしくは両方とセットにすることで効果を発揮できるらしいのです」

フィボナッチに同行してきたカプレカが追加を取り出しながら説明をする。彼自身も正確には理解していないのであろうが、フィボナッチに任せていては文字通り日が暮れてしまうと懸念したのであろう。
取り出された2つの冊子にはそれぞれ“赤雫★激団物語”“ジャラヒの子育て奮闘記”と表書きがなされていて“Blank Note”と書かれた最初の冊子の上に重ねられた。

「まぁ!坊ちゃんの奮闘記ですか。拝見してもよろしいですか?」
一方が丁度ティーポットと茶菓子を持ってきたドロシーの目にとまり興味を引く。あえて手出しをしてこなかった彼女にとってに映っていたかは気になるところなのであろうか。

「うむ、ジャラヒ殿とリオディーラ殿以外にとってはどれもただの文字記録に過ぎぬからな。まったく持ってかまわぬぞ。」
「…ん?俺とリオ以外にはただの文字記録…?ってことは何だ?この間カプレカが言っていた“命を落とすかもしれない危険性”ってのはいったい何なんだ?」

ただの記録であれば危険なぞあるはずもない、ジャラヒが疑問に思うのももっともである。それに対するフィボナッチの返答は彼らしくあり、脱力を誘うものであった。

「ん?それはな…測定中に構想を面白くなく感じてしまってだな。この形式のほうが安全でかつ面白そうだということで路線変更をしたのだ。」
「ところで主任、これらはどういう理屈でどのような効果のあるものなのですか?」
脱力しきり、突っ込みを入れる気力も失われかけているジャラヒに代わって助手の立ち位地からカプレカが問いかけの形で説明を促す。
「うむ、そうであった。それを説明せねばならなかったな。その前にふたつほど再確認させてもらうが…ジャラヒ殿、そもそもリオ殿は物語を核にしてジャラヒ殿の想念が形作っていた。それと、以前リオ殿が消滅したのはジャラヒ殿とハッピーエンドを迎え物語が完結してしまったから………それに相違はないな?」

肯くジャラヒにフィボナッチは説明を続ける。彼に語らせるといつまでも終わらないので要約すると以下のとおり
・Blank Noteはジャラヒと魔法的に接続することで彼とリオディーラに関わる  ことを自動的に記述していく。
・記述により物語の結末を強制的に取り払い、リオディーラ顕現の核とする。
・“赤雫★激団物語”・“ジャラヒの子育て奮闘記”はそれぞれ過去・現在のリオディーラを表し、Blank Noteと魔法的に接続することにより「リオディーラがプリアティルトでジャラヒと出会ってから消滅するまで」と、「ロイの魔力で顕現してから現在まで」のいずれかの記憶を持ったリオディーラとなる。両方をつないだ場合には、運がよければ両方の記憶を持つが、悪ければどちらの記憶も持たないまっさらな状態になる。
・どちらも接続しなかった場合にはオリジナルのリオディーラが現れるかもしれない。

「まぁ、これはあくまで可能性の事象平面から一点を取り出そうとするものだ。上手く行くか否かはまったく予想が付かぬ。よってどれかを選べということは私には言えぬな。どれも選ばないという選択もあるからな。くくく…」
「フィボ、説明がくどいぜ…。まぁ…必要なところは理解出来たっぽいからいいけどよ。」
説明が終わる頃、フィボナッチたちの来訪時に中天にあった太陽はすでに西に沈みかけていた。ジャラヒとともに隣で説明を聞いていたドロシーなどは意識を彼方へ退避させてしまっている。ジャラヒも疲労困憊といった体だが、それを覆い隠すほどの期待が見て取れる。

「主任、それではお暇しましょうか。ここから先は文字通りのお邪魔虫になるでしょうから。それでは、お邪魔いたしました。」

備えとして居座らんとするフィボナッチの首根っこをつかみカプレカは辞去していった。

「(ジャラヒさん、悔いの残らないようお願いしますよ…)」

一人、応接間に残ったジャラヒの選択は…そしてその結末は…また、別のお話。

果たして、どの物語がつながり、紡がれていくものなのでしょう…。

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2014-07-06 : いただきもの : コメント : 0 :
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