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【10期】短編・ダリアとリオディーラ

「ダリアちゃんの髪の毛、さわってもいーい?」

突然少女に髪を触られ、ダリアは飛び上がった。

「あ、ごめん!」
「いえ、いいのよ。ちょっとびっくりしただけ」

てへ、と頭を下げる少女は、もう一度ごめんと呟いて、それでもダリアの髪を触ろうとする手を止めない。
鼻歌を呟きながら、ダリアの黒髪に手を滑らせる。

「わー!やっぱすべすべだ~!」
「べ、別に大したもんじゃないわよ」
「いーなー長い髪!」

髪を伸ばしているのは、別に大した理由があるわけでもない。
なんとなく、伸ばしてきただけ。
手入れは大変ではあるが、とりたてて誇れるようなものではないと、思う。
仕事の邪魔ではないか、と問われたこともあるが、邪魔になるまで追い詰められたことなど、これまでにない。これからも、そんな無様な境地に陥るつもりもなかった。

「あのねーダリアちゃんの長い髪、いつも見てて思ったんだけどね~!」
少女は、何がうれしいのか、いつもきゃっきゃと笑っている。
ふふふと、特別な宝物を見つけたみたいに。
まるで大切なものを見守るみたいに見つめて、ダリアには出来ない夢見るような眼差しで言った。

「ダリアちゃんって、おひめさまみたい」
「……は?」

夢見心地で口に出された、お菓子みたいな言葉。
彼女が言ったのでなければ、きっと狂ったのだと判断したところだろう。
いや、彼女が口に出していても、その疑いは拭いきれない。
いつも突拍子もないことを言う少女だから、気にしても無駄だと知っているけれど、その言葉が自分に向けられたとなると、たまったもんじゃなかった。

「ながーい髪はね、おひめさまの印なんだよ。おひめさまは、宝石みたいに綺麗でね、みんなに愛されているの」

綿菓子みたいな甘い言葉に、ダリアは眉を顰めた。
何を言い出すかと思ったら、どこかで聞いたようなおとぎ話。
お伽話の「お姫様」と並列されるなんて、戸惑うよりも不快だ。

「みんなおひめさまが大好きなんだけど、おひめさまはとってもきれいで気高くて、宝石みたいにキラキラしてて、触ったら溶けて消えちゃうの。だから誰も触れられないんだよ。触れられるのは、王子様だけなの」

そんな少し可哀そうにも思える話を、少女はさらりと言って、

「でも、ダリアちゃんは、消えちゃわないでよかった!」

と、お日様みたいな笑顔で笑った。

不快を口にしようとしたダリアは、その笑顔を見ると何も言えなくて、そっと目を逸らすしかない。

「き、消えないわよ。ばかね」
「うん!よかった!」

よかった、と笑って少女は、ダリアの髪から手を離した。
さらり、と彼女の指をダリアの髪の毛がすり抜ける。
それから、彼女は機嫌良さそうに鼻歌を続けた。
ダリアは彼女に何か言葉をかけようとして、しばし何かを探したが、かけるような上手い言葉など見つけることもできず、息をつくだけに留めた。
そもそも、何を言いたかったのかもわからない。
だけど、笑っている彼女は、とっても楽しそうなのに、少しだけ寂しそうに見えたので、何か言おうと思ったのだ。
結局、言葉も出てこなかったので、ダリアは代わりに話を変えた。

「髪、結んであげるわよ。こっち、座りなさい」

少女はきょとんと首を傾げたが、ダリアの台詞の意味を把握して、跳ねて喜びを表すと、おとなしくダリアに頭を預けた。









―――
「ダーリアちゃん!ダリアちゃん!寝顔も可愛いけど、そんなところで寝てると風邪ひくよ?」

目が覚めると、そこはいつもの赤雫☆激団本拠地だった。
どうやら、転寝していたらしい。
ソファに腰かけて休んでいたのは昼間だったはずだが、もうすでに少し肌寒い。

「…起こしてくれればいいのに」

無茶を承知でそう言うと、男は肩を竦めたが、気を害した様子はなかった。

「だって、ダリアちゃんの寝顔可愛いんですもの」
「…どれくらい見てたのよ」

茶化したように言うその男は、セリラート。
流れの傭兵をやっている男で、今は赤雫☆激団に籍を置いている。
セリラートは、にやりと笑って言った。

「かれこれ一時間?ダリアちゃんの髪きれいだな~寝顔かわいいなーって思って」
「起こしなさい!」

調子がよく、軽薄な態度が目につく男だが、まあ、それも最近は慣れてきた。
もう一人のむっつり無口男と足して割ればちょうどいいのにと思う。

「でも、ぐっすり寝てたよね。疲れてた?」
「ん…別に……夢を見てたのよ。忘れたけど」

言いながら、身体を伸ばす。寝ている間に縮こまっていた身体が軋む。
ゆっくりと手足を伸ばしながら、ふと先ほどまで見ていた夢を思い返した。
なんでもない、日常の夢。
きっとかつてあったはずの、柔らかい日々。
そこには、誰かがいて、…その誰かは、何故かダリアの記憶にない人物の顔をしていた。
どんな顔だったかは思い出せない。けれど、不快なものではなかった。
そんな、不思議な夢。

「まあいいわ。罰として、今日は貴方が夕飯作ってちょうだい」
「何の罰だよダリアちゃん…」
「ジェインが作るよりマシでしょ。あの男、真顔で泥を食べるような男よ」
「それって答えになってなくない?」

肩をすくめながらも、セリラートの足は台所に向かう。
一人暮らしが長いそうなので、料理は苦手ではないのだと、聞いたことがある。
苦笑しながらダリアは、彼の後に続いた。
もうそろそろジェインも帰ってくる頃だ。
二人にお茶くらい入れてもいいだろう。

この日常は、夢で見た日常とは少し違っていたけれど。
これはこれで、別に不満はない日常だ。
と、ダリアは少し口元を緩めた。

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tag : 第10期 リオディーラ ダリア

2013-11-30 : SS : コメント : 0 :
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