ハルセリオルさん

来期用のハルセリオルさん

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ナスカさん

赤雫総選挙ゾロ目ありがとうございます。
ナスカさんウェイトレス風

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ルシアくん

赤雫☆総選挙ゾロ目ありがとうございました!ルシアくん!

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トーマさん

赤雫☆総選挙ゾロ目ありがとうございました!トーマくん!

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イナホさん

赤雫☆総選挙、ゾロ目ありがとうございました!

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じゃんなっつさん

赤雫☆総選挙、ゾロ目ありがとうございました~!

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フィルさん

赤雫☆総選挙、ゾロ目ありがとうございました!
フィルさん

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実梨ちゃん

赤雫★総選挙、ゾロ目ありがとうございました!
実梨ちゃん。

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フィントくん正装

赤雫総選挙イベントゾロ目ありがとうございます!なフィントくん。正装バージョン。

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【SS】10期第2話

「ドロシー入るよ」

ノックを二回と声をひとつかけて、ロイは返事を待たずにドアを押した。

ここは赤雫☆激団別邸。小さな部屋が三つだけあるこの家は『秘密基地だよ!』とリオが見つけてきた家だ。本拠地はまた別にあって、そちらは『赤雫☆激団』と大きく看板がかかっている赤い屋根の家。客の応対や作戦会議はそちらの本拠地でやることになっている。だからこの別邸、秘密基地というここは、向こうの本拠地よりもだいぶ静かだった。
その小さな家の小さな一室で、彼女は椅子に腰かけて空を見つめていた。
扉が開いた音に気が付いて、それからゆっくりとこちらを見る。

「あら、お帰りなさい、ロイさん」

それから、ゆっくりと笑った。

「ただいまドロシー」
「どうでした?ダリアちゃんたち」
「うん、元気そうだったよ」

こうやって、椅子に座ってほほ笑むことができるまで、ドロシーは回復したのだと、胸をなでおろす。
つい先日までは、ベッドから起き上がることもできなかったのだ。
いつも元気に動いていたドロシーが、座ったままほほ笑む姿は、少し痛々しいけれど、ここまで回復すれば、もうすぐ元のように動けるようになるだろう。

「もう、大丈夫ですから」

そんなドロシーの微笑みは、どこか悲しかったけれど。



ドロシーは『ジャラヒ・ワートン』の幼いころを支えた乳母だった。
ブリアティルトでジャラヒに再会したドロシーは、懐かしいぼっちゃんを支え、その仲間である赤雫☆激団の面々の世話を焼くことも厭わず、名実ともにメイドとして、赤雫☆激団に名前を連ねていた。
が、悪名を誇るあのジャラヒ・ワートンは、その恩を簡単に裏切って、赤雫☆激団に仇を為した。
止めようとしたドロシーを手痛く傷つけ、ジャラヒは本拠地を後にし…
現在、ダリアはあの男の行方を追っている。

と、いうことになっている。


本当の所を、ロイはまだ知らない。
事実としてあるのは、突然倒れたドロシーが最後に会った人物が、ジャラヒだということ。
ドロシーの身体に外傷はないが、一時心拍停止状態になったということ。
そのドロシーが、ジャラヒに会うことを拒否していること。
そのことから、ジャラヒがドロシーに何かしたのではないかと、勘ぐることは出来る。
だが、ロイにはそれが全てには思えなかった。

だって、ジャラヒはロイの相棒で、ロイが初めて仲間にした男だ。
元はギャングということは知っていたが、事情もなしにそんなことをする男だとは--。

いや、

(違う)

頭を振る。
違うのだ。記憶が混乱している。
ありえない。

(あいつが…相棒で、初めての、仲間??)

あんな自分勝手なわりに勝手に傷つく甘ちゃんで、その割に薄情でガラの悪い金髪ヤンキーと、自分はそんな、初めて仲間にするだなんて、ましてや相棒なんてありえない。あれは、ただ偶然、--の大事な仲間だというから仕方なく仲間としているだけで、ロイが好んで仲間にした男では、ない。あんなヤンキーと仲が良いなんて、ありえなさすぎて寒気がしてくる。



ブリアティルトが10の巡りを確認したと同時に、ロイはふとすれば記憶が混乱していることに気が付いていた。

一つの記憶は、自分がブリアティルトに来た記憶。
強くなるためにこの世界に降り立ち、ジャラヒと出会い、意気投合し赤雫☆激団を結成。それからジャラヒを慕うドロシーに出会い、そしてジャラヒの過去を知るダリアに出会った。
ダリアは、ジャラヒが危険な男だと言った。
だけども、共に過ごすうちに、彼女もジャラヒの改心したという言葉を信じ、強力な味方になった。だからこそダリアは、ジャラヒがドロシーを傷つけ裏切った事実が許せない。
彼女は現在、赤雫☆激団の部隊長として傭兵登録をし、ジャラヒを追っている。始末するために。

そんな記憶と同時に、ロイはもう一つの記憶が隠れていることに気が付いた。
そして、その記憶は、時間を増すことに存在を主張してくる。
ロイが事実を欲すればするほど、確実に、これが真実だと、伸びてくる記憶。
それでも油断すれば遠のきそうになるその記憶を、ロイは真実だと認めていた。
きちんと捉えて、離さないようにしなければならない。

真実。
ひとつ、ロイは魔神であり、ここには召喚を受けてやってきた。
今現在、ロイがおぼろげなりとも事実の記憶を掴んでいられるのはその力のおかげだろう。
力を持たないダリアにはその事実とされる記憶が一切ないようだ。
それからひとつ。
ジャラヒ・ワートンと自分は仲なんて良くない。ロイから声をかけ、意気投合して部隊を組むなんてありえない。
この記憶、いや、感情は、真実に気が付く一種のトリガーだった。
おかげで、ロイは正気を保っていられるとも言える。その意味ではありがたい記憶だ。
ジャラヒとは、馬が合わずにいつも喧嘩ばかりしていた。それを、ドロシーと――が止めるのが日課だった。覚えている。あの男と自分を繋いでいたのは、仲間意識でもなんでもない。ただ--との契約だ。

そう。
――。

(リオ、だ)

赤雫☆激団のリーダーで、この小さい家を秘密基地だなんて言った少女。
リオ。
ふとしたときに名前は思い浮かぶのに、こうやって思い出そうとすると、何かに邪魔をされるかのように名前が消える。
実際、名前どころか、ダリアは存在も覚えていないようだった。

本当の記憶と、今作られている記憶。ふたつの記憶の違いは、ようするにたった一つ。
リオディーラという存在の有り無しだ。

リオが無いことになっている記憶では、赤雫☆激団を作ったのはロイだということになっている。リオがいないから、ジャラヒと仲間であるのはロイと息があったから、なんてありえない記憶になっているし、彼女と共にいたジャラヒのあの献身的で間抜けな姿が記憶にないから、ドロシーを傷つけて裏切って逃げ出した悪逆非道な男ジャラヒ、が違和感なくダリアに染みついているのだ。
リオと共にいたジャラヒの、あの情けない姿を彼女が覚えていたら、あの男が裏切ったなんて、ドロシーを傷つけたなんて、全てを破壊し処分した、血も涙もない男なんて、鼻で笑ってしまう。過去がどうあれ、あの男が現在もそれができるなんて、ありえない。
だってあいつは、あんなに情けない、ただあの子しか見ていない男なのだ。

気づいたことはもう一つ。
リオの存在が「ない」ことになっているのは、赤雫☆激団の仲間の間だけだということ。
リオ自体、最近の巡りでは、部隊内の活動はジャラヒが張り切っていたから、表舞台には出ていなかったのもあって、部隊活動で彼女の名前が出ることはない。
だけど確かに…

『リオちゃんにも、よろしくね!』

街で買い物をしたとき、傭兵上がりの商人のおばちゃんにそう言われた。
彼女の存在は、確かにあった、のだ。
部隊活動はしていなくても、この街で、ヒーローごっこなんてしていた彼女の姿は、誰かの胸に刻み込まれていた。
巡りを超えたことで、記憶が消える街の人たちには残っていないが、こうやって、僅かでも巡りを覚えている者たちの中には、微かでも彼女の存在は残されている。
おおっぴらに行動していなかった彼女なので、公の場で名前が出てくることは少ない。だけど、ロイが彼女を言及すると、ああ、あの元気な子!だなんて、返事が返ってくることは度々あった。
彼女は、妄想でもなんでもなく、たしかにいた存在なのだ。
だが、ダリアはそれに気が付かないだろう。
彼女は、部隊の昔話なんて世間話に持ち出す人物でもないし、彼女の頭の中は、ジャラヒ・ワートンの捕獲でいっぱいだ。

だからロイは、ダリアたちから離れて、単独行動を取ることにした。
なぜ、リオの記憶が仲間たちから消されたのか。
あのジャラヒはどこにいるのか、何をしようとしているのか。探ってみる必要がある。
いくつか理由は想像がつく。
ロイの推理が確かなら、リオはジャラヒによって消されたのだろう。
早かろうと遅かろうと、避けられないとは思っていた。
記憶から消えるとは思わなかったけれども。
ともかく、もしそうなら、残されたジャラヒは…。


「ぼっちゃんは…」

と、思考を巡らせていたロイに、ドロシーは遠慮がちに口にした。

「まだ、見つからない、のかしら」

それは、自分を傷つけた男が今どこにいるのか気にしているようにも見えたし、大切なぼっちゃんの行方を心配しているようにも見えた。
だけど、ロイは、笑顔で応える。

「あいつのことだから、今頃どっかの通りで金稼ごうと絵でも描いて、警察にみつかってひーひー言ってるんじゃないか?」

きっと後者だ。ロイの知っているドロシーは、いつもジャラヒを心配していた。
だから、そうおどけるように言ってやると、ドロシーは、ふふと笑ってそれにこたえる。

「まったく、ぼっちゃんは仕方ないですね。これだから私が後でしっかり話を…って、ぼっちゃんにはもう私は必要ないんですけど…」

何があったのか知らないが、起きてからというもの、ずっとドロシーはこれだ。
ジャラヒぼっちゃんが心配。だけど、ぼっちゃんにはもう自分は必要ない。立派な一人前の男性だから。そう呟くのを聞いて、ロイとしては、何を今更…と思う。
ジャラヒは別に、ドロシーがいなくても大丈夫だ。
それは確かにその通りだし、ドロシーだってすでにわかっていたはずだ。一人前になって嬉しいと、前から何度も言っていた。だけど、それでもジャラヒの世話を焼いていたのがドロシーで、あの男だって、別にそれをどうこう言ったことはなかった。
どうこう…言ったのだろうか。
ジャラヒは、ドロシーに何かを言ったのだろう。
それがドロシーを傷つけた。
それだけで、一時は彼女の心臓まで止まったなんて、にわかには信じられないけれど。
だけど、もしそれだけドロシーをあの男が傷つけていたのなら、ダリアほどではないが、ロイだって、あの男を憎く思う。まあ、憎くというか、いけすかなく思っているのは、いつものことだけれども。

「あいつにはどうだかしらないけど、おれたちにはドロシーが必要だよ」

心の中でジャラヒを罵倒して、ロイは続けた。

「ほら、ドロシーが元気ないと、おれも調子でないし。最近あんまり美味いもん食べてないし。そういえば、こないだダリアが、紅茶の淹れ方もわからなくてさ」

もう、本拠地の台所事情が半壊状態。
そうおどけて言うと、ドロシーはきょとんとした顔をして、それからふふと笑った。

「でも、ロイさんのコーヒー、とっても美味しいですよ」
「ドロシーに教わったからね」
「ロイさんもお料理できるでしょう?」
「肉料理は得意。他はまあ、うん、苦手っていうか作る気しない」

正直にそう言うと、ドロシーはとても嬉しそうに笑って、それから少しだけ目を伏せた。
何を考えているかはわからないが、彼女がもう一度こちらを向いたとき、ロイはもう、何も言わなかった。

「心配かけて、すみません。大丈夫です。もう、すぐお仕事に戻りますから。だからロイさんも」

ドロシーは、先ほどまで見せていた儚さのようなものを、瞬間的に消した。

「ロイさんも、がんばってくださいね」

ロイにそう、励ましの言葉を向けて。





□■□■□■□■□■□■
「毎度おなじみ!赤雫☆激団でーっす!赤雫☆激団でーす!ごちゅうもくー!」

青い空、白い雲、色とりどりのテントが空に映え、人々は市場での買い物を楽しんでいた。休日の昼下がり。
首都アティルトの広場にて、張り上げられた声が響き渡った。

「知ってる人も知らない人も!ちょぉっと聞いてくださいよー!」

右手を口元に当て、響く声の主は、何事かとこちらに注目する人々に、おどけたように手を振った。

「最近街が物騒になった?スリに強盗?え?殺人?キャー怖い!何なの誰なのこわいやつ!」

人々の目線をものともせず、何かを演じてるように男は手を胸元で組んで、気持ち悪いポーズでさらに注目を浴びる。

「もしかしたらそれ、あれかもしれません。『ジャラヒ・ワートン』!聞いたことありませんか奥さん!」

手近にいる主婦らしき女性にそう声をかけ、返事を得る前に頷く。

「気を付けてくださいね『ジャラヒ・ワートン』!害虫より怖いですよ!人類の敵!
我々、赤雫☆激団は、罪人ジャラヒ・ワートンを追ってます!この害虫を見つけた時は、すぐさま、赤雫☆激団に連絡!忘れちゃだめですよ!赤い屋根が目印!赤雫☆激団にご連絡くださーい!」

たぶん、害虫駆除の会社かなんかだと思われてる。
そう冷静に思いながら、ダリアはそっと、大声を張る男から離れようとして

「ほら、ダリアちゃんからも一言!」

腕を掴まれ断念した。

「…え、そ、そうね、わ、悪い男だから、えっと、……や、やっつけちゃうわ」

浴びる目線に耐えながらそう言うと、いつの間にやら囲んでいる男たちからの歓声が盛り上がる。
「おー」だの「わー」だの「おれもやっつけられてえ!」「いい!」だの野太い声を聞くと、男…セリラートの発案した広場で声掛け作戦が成功したようには思えなかった。

「ふう、これで『ジャラヒ』も年貢の納め時だな」
「何か大切なものをなくした気しかしないわ」



部隊の仕事の遠征の合間に、何とかジャラヒを見つけようと部隊で話し合った結果がこれだった。
あれでいて頭の良いジャラヒを捕まえるのは、単独では難しい。
これはもう、街をおおっぴらに歩けないように、指名手配しようと、言い出したのはセリラートだ。
ちなみにもう一人の部隊メンバージェインは、その作戦を聞いたとき、冷たい目線でこちらを見たあと、頷いて消えた。
今思えば、あほじゃないかこいつら…という目線に違いなかったのだが、『ジェインの旦那も完全に納得脱帽っていう頷きだなあれは…』というセリラートの発言に、そうかと思ってしまった自分が憎い。
ともかく、セリラートに連れられて、広場まで来たダリアが感じるのは、後悔以外の何物でもなかった。

「まあまあ、ダリアちゃん。宣伝は済んだし、お茶でもして帰りましょうよ」
「…私にはあなたが遊んでいるようにしか見えないんだけど」


セリラートは、元赤き涙雨の副リーダーである。
つまり、ジャラヒに裏切られ、組織を潰され、仲間を奪われた経歴を持つ男だ。
調子の良いことばかり言っている様子からはそんなこと読み取れないが、ダリア以上に、ジャラヒを恨んでいるはずだった。
だから、共にジャラヒを追うことにダリアも反対はしなかったし、赤き雨のナンバーツーだった男に、期待もしたのだ。
結果この能天気な作戦っぷりだが。

「何言ってんだよダリアちゃん。この羞恥プレイ。ぜったいジャラヒには大ダメージだぜ?」
「その前に私にも大ダメージよ…」

この男を仲間に引き入れたことを後悔する。
ため息をついていると、セリラートはそんなこと気にしてない風で、その態度がさらにダリアを苛つかせる。

「まあまあ、焦る必要はないって。あいつは出てくるさ。こういうのは、気長にいくのが一番」

焦らず、冷静に、地道に、根気強く。
ターゲットを追う時の基本だ。
焦ってはダメだ。相手がボロを出すまで、落ちてくるまで、冷静に待たなければならない。
そんな基本中の基本をこの男に説かれて二の句が継げず、言葉を推し量っているうちに、セリラートは両手を頭の後ろに組んで歩き出した。

「ってわけで行こうぜダリアちゃん」



ぶらりと適当な店に入ったセリラートは、ダリアに奥の席を勧めた。
放っておいて帰ればよかったのだが、それに気が付いたのは座った後なので、仕方なくメニューを眺める。
と、

「…なに?」

セリラートはダリアの正面に座り、にやにやとこちらを見ていた。

「いや?」

そう首を振って、セリラートはメニューに目を下ろす、それからぱたんと閉じて、
「ウエイトレスさん、注文!おすすめな飲み物なんかちょーだい?甘くないやつ。あ、ダリアちゃんは?」
そんな適当な決め方をしたあと、ダリアにそう尋ねた。

「…えっと、紅茶?」
「ウエイトレスさん紅茶!かわいこちゃんに合いそうなやつ一つよろしく!」

そんな、ダリアには出来そうにない注文をしてから、再びダリアに向き直った。
つくづく、わからない男だ。
相容れる気がしない。
これがあの赤き涙雨のナンバーツーとは思えない。
ジャラヒですら、こんなにいい加減な男では、なかったはず。
もっとも、裏切ったあの男がほんとはどんな男だったかなんて、今となってはわからないが。

「ダリアちゃんはさ、なんでジャラヒを追ってるの?」

向かい合ったセリラートは、ダリアに突然そう尋ねた。
突然ではなかったのかもしれない。だけど、ダリアはそれを問われるとは思っていなかったので、答えに窮する。

「…あいつが、罪人だからよ」
「罪人だから?暗殺者として依頼があったから、じゃなくて?」

カマをかけられたのに気が付いたのはその後で、自らの愚鈍さに唇を噛んだ。
バカな男のようでいて、きちんと見ているらしい。
ダリアの中にある矛盾を正しく見抜いて、そう指摘してみせた。

「依頼は…」

依頼は、あったと言えばあったし、なかったと言えばなかった。
あの男を監視し、生きるにふさわしくないと思ったなら、処分しろ。
そうダリアに依頼したのは、ジェインだ。
ジャラヒを処分した方がいいと、決断したのはダリア。
だから、何故追ってるのかと問われることは、何故ダリアが彼を処分しようと決意したか問われるのに等しい。

「…罪人だから、出たんだわ」
「そっか」

罪人だから、裏切ったのだ。
まるで仲間みたいな顔をしておきながら、ドロシーを傷つけ、何も言わずに去った。
『終わったら、きちんと話すから』
そうダリアと交わした約束を守ることもなく。
生かすべきかどうかは、彼と話してから決めようと思っていた。
自分の作った組織を、自分で壊滅させた彼が、一体どう変わったのか、何故変わったのか、これからどうするつもりなのか。
それを聞いてほしいと、そう言ったジャラヒは、いとも簡単に裏切って消えた。
それなら、ダリアも答えを出すしかない。

答えを出して、ダリアはジャラヒを追っている。
ジャラヒは変わってなんかいない。いい加減で、一度大事にしたものでも、いらなくなったらすぐ放り投げ、以前は赤き涙雨を、今は赤雫☆激団を、投げ出し破壊したのだ。これの弁明を避けた以上、あれを生かす理由なんて、ない。

「…セリだって、あの男が憎いでしょう?」

一番復讐したいと思っているのは、きっとこの男だと思った。
片腕としていつも隣にいながら裏切られたのだ。その思いは、ダリアのそれよりも強いものではないかと。
問われたセリラートは、何かを答えようとして、口を開いて、一度閉じた。
背後から、ウエイトレスが飲み物を持ってきたからだ。それを愛想よく受取り、紅茶をダリアの前に置き、自分の前にレモンスカッシュを置く。
ストローを加えて一口飲んで、それから、

「そうだなあ…」

と、曖昧に再び口を開く。

「憎いと言うか、またあいつ、バカやってんのかなっていうか…」

ぼやくように言う様は、憎んでいるようには見えない。

「憎くないの?あの男に…殺されそうになったんでしょ?それに、組織を潰されて…」
「んー、まあ、赤き涙雨ってのは、ジャラヒの組織だからねえ」

ちゅうちゅうとストローを吸った男は、そんなことを言った。

「ダリアちゃんの期待に応えられなくて悪いんだけど、あの組織はジャラヒのだから、あいつが好きにしたらいいって、おれは思ってる」
「憎んでないって、こと…?」
「そこは難しい男心ってやつですよ」

茶化す様にセリラート。
一瞬、ふざけているのかと思ったが、どうも違うらしい。
いつも真正面からダリアを見るのに、今のセリラートは、どこか違うものを見ていた。

「…男心ねえ」
「あれ?ダリアちゃん、ふざけるなって怒らないの?」
「怒ってほしいの?」
「正直そーいうのすごく好き……いや、冗談です」

セリラートは憎んでいない。
必死でないのはそのせいだったのか。
だからあんなにふざけていたのか、と思うと腹も立つ。
はずだが、何故だかそうとは思えなかった。

「うん、あいつがダリアちゃんに見つかったらいいって、俺は本気で思ってるよ。そのあと、ダリアちゃんがあいつをどうしようが、それはべつに、どうでもいい…というか、ダリアちゃんの好きにしたらいい」

セリラートは、ジャラヒの親友だった。と、聞いている。
だから、裏切られて余計に憎いだろうとダリアは思ったのだが、そうでもないと彼は言う。
では、親友だから、彼を心配しているのかと思うと、ジャラヒを始末しようとしているダリアに、好きにしろとも言った。
そんな意味が解らないことを言うこの男に、腹が立ってもいいはずなのに、反面、このふざけた男が、初めて本当のことを口にしているのだと、わかった。
だからダリアは、セリラートの言葉の続きを聞きたい。

「ジャラヒは…」

口にするのも嫌になる、あの男の名前。

「貴方の仲間だったのよね。裏切ったのに、憎くないの?憎くないのに、私に殺されるのは、いいの?」

問うとセリは、ああと頷いた。

「って言っても、俺は聖人じゃないからな。あんな目に合わせたジャラヒを憎みませんとか、ダリアちゃんのすべきままに…とか言うつもりじゃなくて、んーなんていうか」

なんというか、と言葉を探して。

「俺の昔話になるんだけど…あ、ダリアちゃん気になる?俺の過去気になっちゃう?」
「茶化さないで」

そうやって茶化すのは、彼の癖らしい。睨んでやるとすぐに彼はそれを引っ込めた。

「ジャラヒが赤き涙雨を作る前に、おれのいたスラムは悪逆非道のギャングってやつに支配されてさ」
「赤き涙雨と何が違うのよ…」
「赤き涙雨は、いわゆる義賊ですよ?」
「まあ、言うのは自由よね」

ともかく、とセリラートは続ける。
ジャラヒとセリラートが15の時、赤き涙雨を作り、元いた犯罪者たちを一掃したらしい。
そのおかげでスラムも平和になり、元いた犯罪者たちの代わりに、スラムの少年たちを伴って、赤き涙雨が街を支配することになった、彼らの組織の初めの話。

「おれさ、その悪逆非道のギャングに、育ての親ヤられてんのよ。で、復讐に燃えて、ジャラヒに復讐を手伝ってもらって、トドメささせてもらって、一件落着。以来、おれは他人の復讐話には口出ししないことにしてんの」

セリラートがたまに、嬉しそうに口に出す師匠の話を、ダリアはふと思い出した。
セリラートがスラムで生まれ、やさぐれているところに手を伸ばし、戦うことを教えてくれた育ての親。
話を聞くに、よくわからない突拍子もない人物のようだったが、セリラートが懐かしそうに、「師匠がそれ好きだった」とか、たまに口にしているのを聞いたことがある。

「まあ、だから、ダリアちゃんがジャラヒに復讐したいなら口出しはしない。おれの復讐はもう終わってるから、おれはジャラヒに何かする気はない、ってとこかな」
「…復讐したいなんて、言ってないわよ」

苦し紛れにそう言うと、セリラートはにやりと笑った。

「あ、依頼なんだっけ?あれ、罪人だから?」
「…うるさい」

見抜くみたいに言うセリラートが憎い。
と、同時に、わからなくなった。
生かすべきか、処分すべきか、判断して後者を選んだと思っていた。
だけど、本当はそうじゃなくて、復讐のつもりだったのだろうか。
だとしたら、何の?
ドロシーを傷つけたことに対する?
仲間を裏切ったことに対する?
それとも、ダリアを信頼させておきながら、嘘をついて消えたことに対する?

どれも、何か可笑しい。
ドロシーは生きている。
仲間も誰も死んでいない。
ダリアを裏切ったことに対する復讐なんて、なんだかとってもくだらない。子供みたいな理由だ。
素直に認めると、最後の理由が一番大きい。
ちゃんと話をするとか言いながら、ドロシーを傷つけて消えて、何もダリアに言わなかったことに対する、裏切り。八つ当たりのような、子供みたいなもの。
だけど、それだけじゃなかった。

何かが一つ足りない。
あったはずのものが、何か足りないような。
そして、それが欠けたのは、あの男のせいだと、確信しているような。

「…ダリアちゃん?」

考えに耽っているダリアは、セリラートの声ではっと気が付いた。
顔を上げたとたん、考えが霧散する。

「…なんでもないわ」


それから、呟いて手元のカップを見る。
カップに映るのは、琥珀色と、戸惑うように眉を潜めた自分の顔。迷いの色。
掻き消すように混ぜてから、ダリアはそれを口に含んだ。

罪人だから、処分すべき男だから。依頼だから。
あの男を処分する理由は、それで充分だと思っていた。
だけど、その理由の一つに、自分の私怨が混ざっていたのなら、話は少し違ってくる。
気が付かなければいいのに、セリラートのせいで気がついてしまった。

「セリ、私、ほんとにジャラヒを見つけたいの」

もう一度。
ダリアはジャラヒに会わなければならない。
処分する前に、話さなければならない。
それだけは確かだ。
もし、自らの私怨のようなものが混ざっているのであれば、それはダリアの仕事ではない。
ダリアの仕事は、暗殺。
これは、依頼だから、罪人であるから、処分しなければならないのだ。
私怨で…しかも、自分ですらよくわからない感情で、それを為すのは、ダリアのプライドが許さない。
暗殺者という仕事を誇ったことはない。くだらないと思っているが、それでも。
そこはダリアの矜持だ。

「ああ、もちろん」

頷いたセリラートは、笑っていた。
きっとダリアの意図に気がついているのだろう。そういう笑み。
好きではない笑みだが、なぜだか確信が持てた。
きっと、ジャラヒを捕らえるのは、もうすぐだ。
2014-01-05 : SS : コメント : 0 :
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【放送局】今夜もロイTonight...

「貴方と一緒に『今夜もロイTonight...』
この番組は、愛とよくわからない何かを貴方に。赤雫☆激団の提供でお送りします。
そして、あけましておめでとう!いつも心に情熱を!パーソナリティ岸辺ロイです」
「なんなのその変な枕詞。だせえ」
「こっちは降り注ぐ赤き雨(笑)DJ(笑)のジャラヒ・ワートン」
「笑うな!てめえはいつも心に肉だろ肉!」
「そんなわけで、放送も第2回目な今夜もロイTonight...ですが」
「まて、一回目はこんなダサい名前じゃなかったぞ。じゃららじの方がかっこいいだろ。なんだよこの」
「今夜もロイTonight...(キリ」
「ロイさん、ラジオで決め顔やめて。見えないから。見えてるのおれだけだから。おれは見たくないから」
「ほら、このタイトルコールと同時にちょっと妖しげで魅惑的な音が流れるの。しゃららあ~んみたいな。で、ちなみにタイトルを略してロイつな」
「うわあ」
「親しみももてる略しでさらに好感度アップ」
「どうでもいい。さて、今日の話題は、と。んー、まずは時事ネタから話するかな。そう、とうとう中盤戦…」
「なあ、餅いくつ食った?」
「は?」
「え?時事ネタの定番。」
「どんな定番だよ!きいたことねえよ!この時期っつったら中盤戦だろ!おっきな戦い!」
「餅との戦いはどうでもいいと」
「どうでもいいよ!」
「ちなみにおれは雑煮に入れる餅は4つだ」
「どうでもいいよ!!!!」
「雑煮を食べた後、余った餅を焼いて砂糖醤油で食べるのが好きだな。おまえは?」
「…きなこもち」
「普通~」
「普通で何が悪い。去年初めて食った時衝撃だったんだよ。甘いのにちょっと塩みがあって、それがまた甘さを引き立ててるっていうか」
「おれはその美味さ、10年前には知ってた」
「どうでもいいことなのにどうしようもなくむかつくな、その顔」
「チーズとケチャップでも美味いぞ、餅」
「え?まじで?」
「あとは、納豆乗っけて焼くとかも美味い」
「えー、それは騙してるだろ」
「まじまじ。やってみろって。ミルフィアさんから貰った鏡餅、そろそろ割ろうと思ってるから、また餅増えるし」
「鏡餅って、あの客間に正月から飾ってあるでかい餅??割る??」
「おれの住んでたとこや、イズの習慣。正月から奉ってある鏡餅をばーんと叩いて割るの。鏡開きって言って、運を招くらしいぜ」
「へー。イズって変な国だよなあ。どうせ食うなら奉らずに食えば早いのに」
「これだから金髪ヤンキーは風情がわからないから困る」
「餅いくつ食ったか自慢する男に言われたくねーよ」
「とにかく、おれが言いたいのは、とうとう中盤戦、英雄さんたちには餅のような粘り強い戦いを期待してるってことだ」
「おまえそれ全然上手く言えてねえよ?」
「時事ネタと時事ネタのみごとなコラボレーションがわからないとは」
「そもそも今は998年の9月だからな。正月ネタっていうのも…まあ、それはさておき。えーっと、ここで一曲曲でもかけますか」
「お、今日は曲かけるんだDJ(笑)」
「うるさい。今日の一曲目は、ドジっこ倶楽部の新曲で『転んだら前歯が欠けた』です」
「欠けたのか…」

転んだら前歯が欠けた

「いやあ、中盤戦、どじには気を付けようと思わせてくれる一曲でしたね」
「どじへの警告も忘れないどじっこ組合。さすがはスポンサーだな。ちなみにこの曲は後ろでうちのダリアもタンバリン叩いてるんだけど、どうしてもリズムが上手く刻めなくて徹夜してがんばってたんで、その辺も注目して聞いてあげてください」
「タンバリンもうまく叩けない今期のうちの部隊長の話はやめてやろうぜ…」
「そう、『今期』の赤雫☆激団部隊長ダリアさんですが、なんと、赤雫☆激団、来期の部隊長、変わるかもしれないんですよジャラヒさん!」
「な、なんだってー」
「というわけでここで宣伝」
「来期の赤雫☆激団のセンターを決めるのは君だ!第10期赤雫☆総選挙開幕!参加は簡単!サイコロをみっつ振るだけ!ぞろ目が出たらおれが似顔絵描いちゃう景品付き!」
「わあすごい!景品も豪華ねジョン!」
「ジョンってだれだよ。
おかげさまで4回目の総選挙。一回目の優勝がロイで、二回目がおれで、三回目がダリアだったよな。今回はどうなることやら。相変わらずの内輪ネタで誰が得するんだって感じだが、まあ、中盤戦前後のうちのお約束ってことで!」
「まあ、そもそも来期云々言ってる時点でメタってるからなあ」
「うちは、前期今期来期とか、そーいうの全員把握してるからな。まあ、そういう些細なことは気にしないのが赤雫☆激団です」
「ああ。そんなわけで、サイコロ振るだけの企画だから、参加してくれると嬉しい。ちなみにイベント期間は、1月5日から12日まで予定。ちなみに、この赤雫☆以外でも正月イベントやってるみたいだから、探してみるといいと思う」
「いいと思う(キリっ)じゃねえよパーソナリティ!探して紹介するのが趣旨じゃなかったのかよ!」
「うん、そう思ってるんだが、めんどくさいからそういうのは次回に回そうと思う」
「そういう本音はしまっとけよ」
「ならお前が探してきて紹介・・・・」
「さて、次のコーナー行こうぜ!お葉書コーナー!前回の放送聞いてくれた人からハガキがいくつか来てて。読むな。まず、ラジオネームblancさんから」
「お、ブランから!ありがとうブラン」
「待て待て待て待て」
「ん?」
「ラジオネームっつったろうが!本名言うな!」
「え?だってこれブランだろ?」
「あほー!いいか!ラジオネームっていうのは、魂なんだよ!これってもんを付けて、短いながら存在を絶妙に表現した証!それをないがしろにするなんて、ありえない!ありえないぞ!」
「はあ」
「反省しろ!」
「えーと…すまんブラン。…じゃないや、blancさん。で、なんて?」
「『某所で見かけて聴いてみましたじゃららじ!
何のかんの言いながらジャラロイはいいコンビだと思います!
と書くと否定するんでしょうけども!w
聴きながらツッコミいれたりすごく楽しかったです!次の放送も期待しています!』って。blancさん、ありがとう!」
「はっはっは。ブラン、それはあれだよ。これは仕事だからだよ。仕事じゃなかったらまっぴらごめんさ」
「身もふたもない」
「あとは、あれだな。こうやって愉快な赤雫☆激団を演じることで、スポンサーのどじっこ組合のイメージも上げて、ゆくゆくはスポンサーからのギャラでひとやま当てたいっていうそんな」
「そもそもこの番組、スポンサーの許可とってんのか?」
「え?」
「おまえ、自分はどじっこ組合央国支部長だからって、権限で、勝手にスポンサーになってもらうとか言ってたけど、理事長であるエミリアの許可は…」
「さて!そろそろエンディングの時間だな。えーっと、今夜もロイTonight...お別れの時間がやってきてしまいました。
そうそう、最後の曲はおれが持ってきたんだ」
「ほう」
「かけるぞ。クリスマスの時に聞こえた、ミルフィアさんの鼻歌」
「え」

ゆるやかなハミングが聞こえる

「ふう、さすがミルフィアさん、癒される鼻歌だった…!」
「ロイさん、これはどこで…」
「クリスマスのときに料理作ってたミルフィアさんが気持ちよさそうに歌ってたからつい録音してきたんだ」
「ばっちりしっかり盗聴じゃねえか!」
「素敵だったから仕方ない。さて、この番組では、みなさんのリクエスト曲やはがきを募集してる!宛先は番組終了後のこのスレかRPスレかひみつきちにどーぞ!」
「盗聴はやめよう」
「今夜も聞いてくれてありがとう!お相手は、夜の貴方のしもべ岸辺ロイと」
「えーっと、夜は大体4時間睡眠のジャラヒ・ワートンでした」
「なんだそれ」
「っていうかやっぱり盗聴はやばくねえ?」
「ギャング(笑)が何言ってんの?」

tag : 岸辺ロイ ジャラヒ

2014-01-05 : SS : コメント : 0 :
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